acqua

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古代ローマ帝国時代において、都市国家に溢れかえる豊富な水が繁栄の象徴とされていた。
現代においてもその名残がみうけられて、ローマ市内には沢山の噴水、無料の水飲み場が点在し、
その数は誰も正確に把握できていないということだ。
そしてローマにはイタリアで三番目に長い川テヴェレ川が流れている。
テヴェレ川を境に西側にある昔ながらの歴史が残る下町がトラステヴェレ地区だ。
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そのトラステヴェレ地区に数ヶ月滞在したときのことだった。
その日の朝は春らしく陽気な天気だったと記憶している。とはいってもイタリアで春という季節自体
認識されてるのか疑問なので、ここでいう春はいつも東京で迎えてる、あくびが出るくらい穏やかな日ということにしておこう。
午前7:00借りてるマンションを出て、待ち合わせ場所のキオスクまで行く。
トラステヴェレからテルミニ駅までは、バスとトラムを乗り継いで行くしかないのだが、
ATACのストライキと重なったようで、その日は車で迎えに来てもらうことになっていた。
しかしさすがイタリア人、待てど暮らせど来る気配がない。
よく見るとキオスクの横にはナゾーネ”(Nasone)と呼ばれる小さな水飲み場があった。
通りががりの通行人が屈んではナゾーネから噴出してる水を飲んでいるので、
生水は飲まないと決めてはいたが一口位は大丈夫と思い、飲んでみた。
そうこうしてる内にやっと迎えの車が到着し、テルミニ駅へとむかうことができた。

予約してたナポリ行きのユーロスターに乗り込み発車まで待ってると、何やら急激に悪寒がしてきた。
ナポリ到着間際には悪寒を通りこして、遂には持ってきた薄手のダウンでは役に立たないくらいガクガク震え始めていた。
水上ジェットに乗り換えアマルフィーに到着。陸地に上がった瞬間からまともに歩くことさえままならない。
その後の足取りは記憶がなく、気絶したようにホテルで寝込んでしまったようだ。
朦朧とした意識の中で覚えてるのは、窓から見える光を浴びて真っ青に美しく輝くティレニア海。
そして、対照的にテレビから映し出される家すら丸ごと飲み込んでる反乱した川。
それが果たして川と呼ばれていたものなのかさえ判別出来ないような全てを飲み込んでいく悪魔のような濁流の映像。

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自分とは無縁な国の出来事ではあるが、、僕身体がその濁流に飲み込まれ手足の関節がもぎ取られたような錯覚と夢に陥っていた。
3日後、なんとか熱も下がり意識もしっかりしたときに聞かされたのが、
自分とは無縁な国ではなく、日本の国で起きた出来事だと始めて知らされた。
それが僕の2011年3月11日の出来事だった
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by takujiotsuka | 2016-02-01 16:01 | Photo Gallery | Trackback | Comments(0)