Maine-et-Loire

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フランスはメーヌ=エ=ロワール県の古城へ行った時の事だった。
アンジェの街で借りたフィアット社の緑パンダは燃費も良くて助かったが、
天候には恵まれず、幾度と遭遇する分岐ロータリーでは標識を見間違え逆走することも
しばしあった。躊躇なく浴びせられるクラクションに流石ラテン系だなと感心しつつも、
日本の教習所で習った「ゆずり合う精神」は世界では通用しないと改めて悟ったのだった。
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お城までの道のりはというと、どこまでも続く田園風景と植樹された防風林、
お国柄なのか風景に可愛く佇む電柱が申し訳なさそうに曲がって立ってたりする。
お目当の村までは食事ができそうなお店は見当たらず、お城に着いた時はもうペコペコにお腹が空いていた。
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出迎えてくれた2匹の老犬とロートレックの絵画にでてきそうな、美しくてまつげの長い黒猫のコーヴィ。
女主人のキャロリンには僕のコーヴィの発音が間違ってると何度も何度も言い直しさせられてしまった。
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到着した日は日曜日。コックは休みでキャロリンも夕食の準備はしないということだ。
イタリアから持ってきたおやつでは心許無いと思ってたら、前日から宿泊してたフランス人の熟年夫婦が
夕食のレストランに一緒に連れてってくれると申し出てくれた。
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夕食への出発時刻は20時、それまでは近くの村を散策しよう。
標識を頼りにたどり着いた村は閑散としており、住人にも全く出会うこともなかった。
寂れた古城は白ワインの工場として稼働してた形跡があるが、今は閉鎖の看板が掛かっていた。
そういえばロワール県は白ワインの産地で大変有名だが、宿泊先の古城でも作ってるがロワール県のスパークリングワインは格別だったりして、そういうのはあまり知られてなかったりする。
この辺りから急激に体が寒気を催してきた。  多分アンジェの街で雨に打たれたせいだろう。
食事をしてゆっくり休めば翌日の撮影には治るだろうと思っていた。
フランス人夫婦が乗るベンツが先導し、クネクネした農道を20分程走った。
連れて来られたレストランはなんとベルギー料理の店。
この辺の村ではレストランは数件しかなく、しかも日曜日に開店してるのはこの店だけということだ。
席に着くまでの前室では壁に並べられた数え切れないくらいのワインコレクションとテーブルに並べられたチーズの山。
ベルギー料理は特に珍しい食材があるわけでなく、フランス食材の無難なメインデッシュを食べ終わった頃は22時でちょうどよい時間だった。
アルコールも入った僕の体の中では風邪菌どもが今季最高の台風並みに猛威を振るっていた。
とにかく早く部屋に帰って眠りたかった。
しかし僕の他に3組のカップルがいたが、皆食事が終わっても帰る気配が無い。
数分後に誰も席を立た無い理由が判明した。
ここの売りはワインコレクションでもなければ種類豊富なチーズでも無い、店主が歌うオペラだったのだ。
日曜日のディナー後には必ず歌を披露するということで、面白がって皆が集まるというのだ。
ツーリストをも巻き込み田舎の日曜日の余興にしては良い考えではあるが、
何も今日くらいは休みにしてもいいでしょうと思ったのは、僕だけでした。
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歌声は?というと2時間半、拷問が続いたのだった。

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by takujiotsuka | 2015-12-19 15:04 | Photo Gallery | Trackback | Comments(0)